宮城の北東沿岸部に位置する南三陸町に今年10月にオープンした南三陸ワイナリー。宮城県で6番目、リアスの海を醸すワイナリーです。今季の収穫が終わった10月31日に開催された「ぶどう畑でワイン会」に参加してきました。
まずは新志津川港前のワイナリーに集合。併設のショップでは、ワインや南三陸食材のお土産総菜、テイクアウトコーヒーやリンゴジュースなどを販売。同社の地域への思いなどメッセージもパネルで伝えています。会場への送迎バスを待つ間、それぞれワインを購入したり、海の見えるテラスを見学したり。この日の参加者は30人ほどで、畑やワイナリー工事などボランティアで関わった方や、食材生産者の方もいらっしゃいました。
会場の入谷地区シャルドネ畑はバスで15分ほど。童子山(標高302m)中腹の斜面に広がるもと牧草地で、ワイナリープロジェクトとして最初に苗木を植えたスタートの地だそう。到着すると、上側斜面にのびる緑のじゅうたんに用意された、「青空レストラン」の光景に歓声が上がりました。
バスを降ると、最初に粋な計らいが。シャルドネに紛れて植えてしまった数本の赤ワイン用ブドウを少量残しているので、一人1房の収穫体験をどうぞとのこと。畑の中をうろうろ探しながら、ゲーム感覚で収穫を楽しむことができました。
さて、ワイン会は佐々木道彦社長から、ワイナリーオープンと収穫祭を迎えた感謝の言葉とともに乾杯の発声でスタートです。収穫祭としては今年が2回目ですが、会場の畑では昨年の20倍の収穫があったとか! これはめでたい。雲一つない青空も祝福しているかのようで、グラスを高く掲げて乾杯しました。
ワイナリーオーナーの佐々木道彦さん。
ワインは2019年ヴィンテージのスパークリング(デラウエア)、白ワイン(デラウエア)ロゼ(スチューベン)、赤ワイン(メルロー)、シードルの5種。コース料理の間、醸造担当の正司勇太さんがワイン、料理は佐藤将人さんが説明をしてくれます。今回の料理担当、佐藤さんは仙台の居酒屋や寿司店を経て、「食材そのものに向き合いたい」とこの春、南三陸町の実家で漁師になった方です。料理とのマリアージュのポイントも解説があり、一皿ごと、ひと口ごとに満喫できました。
本日のラインナップ
例えば、ムール貝のマリネには魚介に合うイメージでつくられたデラウエアのスパークリングまたは白ワインを。マリネにもブドウの酸味に合うようにすだちを効かせていました。そしてゴマサバの酢締めに、赤ワイン(メルロー)を。魚には白ワインという思い込みがありましたが、オークチップで樽香をつけた軽快なメルローに合わせてシメサバを軽くスモーク。添えられた香味野菜にもいぶりがっこが入って味わいをリンクさせていました。
ほかにも料理は、佐藤さんのお父さんがとったタコの旨煮といった「ならでは」の一品や、南三陸産放牧豚の「いばり仔豚」のテリーヌや炙りベーコンなどなかなかお目にかかれないものも。締めのご飯は、煮穴子の下にドライトマトの炊き込みご飯という驚きで、最後まで“お祭り”を楽しませてもらいました。
前菜、カキのパテなど
ゴマサバ酢締め香味野菜添え
煮穴子とドライトマトの炊き込みご飯
醸造の正司さんが、「日本で育つブドウを使って、日本で作るワインだから自然に和食に合います」と言っておられましたが、なるほどなるほど。洋はもちろん、和にも寄り添うワインなのだなと納得。南三陸をたっぷり表現した料理&ワインを、現地に足を運んで味わう。美味しく&楽しい、ご褒美のような大人の休日でした。