宮城県気仙沼にある2つの酒蔵見学に、ひやおろしと秋の味覚が楽しめる日帰りツアーに参加してきました。しかも、人気の女性唎き酒師 早坂久美さんの案内で巡ることができるという特別なツアーで、食と日本酒のペアリングについても教えていただくことができました。
当日はJR仙台駅東口バスターミナルに集合し、そこから大型バスに乗り込み、気仙沼へ向かいました。気仙沼は宮城県の最北端の場所にあり、お隣の岩手県に食い込んだ立地のため、「仙台からは遠い」という印象。しかしバスツアーであれば、帰りの運転を気にすることなく心置きなく旅を満喫できそうです。
バスに乗り込む際には除菌スプレーで手指消毒し、2名がけのシートに1名ずつ座るといったコロナ対策がしっかりと行われていました。
途中、道の駅に立ち寄り、2時間ほどで気仙沼に到着です。
気仙沼の街中に到着すると、たくさんの新しい建物が立ち並んでいたのが印象的でした。震災で大きな被害を受けたこの街は、街の人たちや多くのサポートにより、数年をかけて復興を遂げました。港のそばには復活した2つの酒蔵の店舗のほか、カフェやブルワリー、レストランなどが立ち並び、新しい気仙沼の風景を作り上げていました。おしゃれなデザインの街の風景の中、酒蔵は当時の姿をそのまま再建する形で蘇り、昔から変わらない街のシンボルとしての役割を果たしていました。
最初に訪れた「角星(かくぼし)」は明治39年にどぶろくの醸造から始まり、『両國』や『水鳥記』など数多くの日本酒を製造しています。国の登録有形文化財に指定されていた店舗は津波で全壊しましたが、平成28年に再建。酒蔵は津波被害からは免れたものの、地震のダメージにより継続した利用は難しく、今後、廃校になった学校への移転が決まっているそうで、この酒蔵は今年で見納めになるとのことです。歴史のある酒蔵が移転してしまうのは少し切ない気もしましたが、新天地での酒造りと、新しいチャレンジとなるワインづくりに大きな期待を持ちました。復元された店舗の2階で震災前の様子や、酒造りのこだわりなどをお伺いした後、1階の店舗で試飲をさせていただきました。
試飲で心地よくなった後は楽しみにしていたランチタイム。地元民に愛されている「TSUBAKIYA 唐(とう)や別館」では古民家を改装した趣のある店内で、気仙沼ならではの新鮮なお刺身のほか、竹筒に入った自家製豆腐など、ボリュームたっぷりの美味しいランチをいただきました。食事と一緒に「角星」の『水鳥記』ひやおろしと、午後に訪問する酒蔵 「男山本店」の『美禄』ひやおろしをいただきました。唎き酒師の早坂さんからは日本酒と食のペアリングについてのお話をお伺いし、充実したランチタイムを過ごしました!
1912年創業の気仙沼男山本店は蒼天伝、美禄など人気の銘柄を送り出しています。今回は杜氏の方から改装中の酒蔵で酒造りの工程をお伺いすることができました。酵母のことや、麹についてなど知らないことをたくさん教えていただき、日本酒への興味が増しました。
角星と同様に国の有形文化財に指定されながらも震災で被災し、今年ようやく復活を遂げた3階建ての店舗をご案内いただきました。震災当時は、1、2階部分が津波により破壊され押し流され、3階部分のみが残りましたが、その後、同じ場所に1、2階部分を建設し、もともとあった3階部分を移築させ完成しました。震災から丸9年、多くの苦難を乗り越え、復活した姿はとても感慨深い光景でした。その後、なんと11種類もの日本酒や果実酒を試飲させていただき、最後にはミニボトルのお酒とオリジナルお猪口のお土産もいただきました。
ツアーの最後はお土産や新鮮な魚介類を数多く取り揃えている「気仙沼 海の市」でのお買い物タイム。気仙沼ならではのフカヒレスープやホヤぼーやグッズなどのお土産のほか、気仙沼で水揚げされた新鮮な魚介類を安く買うことができました。フカヒレのハチミツ煮をのせたフカヒレソフトなどもあり、最後まで気仙沼の味覚を満喫することができました。
今回のツアーは震災から復興した気仙沼にある2つの酒蔵を唎き酒師と一緒に訪れることができるという特別なツアーでした。
日本酒がつくられている現場で、つくり手の方から直接お話を聞くことができるので、日本酒が好きな方はもちろん、日本酒に興味を持ち始めた方にもオススメのツアーです!